母胎住箱-4 「Torse 2006年9月 東京都
共同住宅/新築
「母胎に包まれた浮世小路」

現代人は、欲望の激しい衝突が雑然とした都市社会を構築していることに気づきながらも、巨大に膨れ上がったその規模を目の前に、無関心を装い、ストレスの蓄積に耐えている。
これまで2つの母胎住箱を提案してきたが、絶大な安らぎと再生の力をもたらすこの空間が社会の中でどのように存在し機能するのが望ましいのかという観点から、都市本来の在り方、その理想を15の住人と共に縮図として表現し、社会に訴えかける建築を提案する。
この長屋という縮図には3層の母胎住箱が5棟存在する。共有の門扉から奥に向かって伸びる外部通路が中心軸となり、各々の住人はそこから直接専有の領域に入ることとなる。井戸こそないが、外部通路は「井戸端会議」の場を提供しているものでもあり、かつての長屋における「路地」として機能する。住人の間に生ずる信頼関係により安全性が充填され、この浮世小路に、現代人が諦めかけた古き良き時代の人間模様が甦る。
この縮図が、いつの日にか都市として実現することを願ってやまない。








  


  
                                                撮影 小野吉彦


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