第2日目 4月15日(水)



午前7時
 起床。
 船内アナウンスで、到着予定時刻よりも遅延すると連絡。

 朝食をとるか迷いながら仕事を始める。それにしてもよく揺れる。今回は2等船室ではなく、特2等船室で助かった。あと5時間船に揺られた後、施主と打ち合わせができるのか若干の不安あり。

        2等船室   特2等船室
                      
*船室写真は小笠原海運ホームページより頂戴しました。



午前9時半
 船の揺れは相変わらずで朝食をとる気にもならず。昨日から8つ入りのたこ焼きしか食べていない。

 あと2時間半で父島着予定。船内もそわそわしてきたが、私はもうひと寝入りしようか迷っている。やはり夜にアルコールを取らないのは体調に悪いのかもしれない。

 会社が気になる、早く電波の届く領域へ突入して欲しいと願う。



午前9時45分
 船内アナウンス。
 聟(むこ)島列島付近、嫁島も見えるらしいが、雨風がひどく、甲板に出る気持ち喪失。前回来た時は、上陸した途端の雨だったが、今回は上陸前からの雨、ガッカリである。

  



午前10時
 ソファを一つ占領し、寝るのをやめて仕事開始。
 午後からの打ち合わせ準備を整える。一度寝床へ戻ったが、お隣さんが朝から酒を飲み、臭くて眠れなかったのが正直なところ。

 船酔いをしないコツは、船に身を委ねること。船に身を委ねるとは、波に身を委ねること。これができない人間は船に酔う。
 横になるだけでなく、壁にも体をくっつけ、船の揺れと己の揺れを同化する。すると脳も含め身体が一緒の揺れを感じて快適になる。揺れに抵抗して立っていようとか、溢さないようにご飯を食べようとすると気分が悪くなるのである。人間の原点は自然に従うことである。

 夜中の航海で、消灯されエンジン音と波の揺れだけを感じる時間は心地よかった。船のエンジン音は一定ではなく、波に合わせて加速・減速を繰り返し、乗船している人々に対し、波の影響での揺れを最小限とするように気遣っていた。
 昼間は体感できないことであったが、そんなエンジン音と波に揺られながら、久しぶりに幼き頃の夢を見た。



午前11時
 PCから目を外にやると、晴天となっていた。
 非常に嬉しく、PCを片付け上陸準備に入る。あと1時間、少々空腹だが上陸してから食べようと思う。
 到着1時間前なのに電波は圏外、圏外という表示とのニラメッコは続く。

          

          

          



正午
 父島上陸。
 やっと晴れてくれた。

 パンを買い、昼食。かなり暑い。
 宿には私の他、学生が1名泊まるらしい。この時期に学生が遊んでいられるのかと思いながら。

 13時半から打ち合わせ、急いで食べねば・・・。



午後1時半
 施主打合せ。
 設計図の精度や出来栄えをかなり喜んでもらえた。普通に図面を描いただけなのに、ここまで喜んでもらえると逆に恥ずかしくなる。
 この喜びをスタッフにも伝えたいと思う。



午後4時
 現地へ。
 住民の方々が覚えていてくれて挨拶を交わす。

 現地と図面の照合を終え、内地にいる設計チームに確認の連絡等。議事録のメールを終える。



午後5時半
 宿「シルバームーン」着。
 どうしてこの宿を気に入ってしまったか、首をかしげる。オンボロで外に出ないとトイレもないし、食事は出ない。でもきっと、この不便さと昭和の臭いが貧乏性の田中好みなのであろう。
 前回の帰り際に挨拶したあの三毛猫も、日向ぼっこをしていた。

          

          

 明日の午前中で打合せ事項はほぼ終わる。
 他の建物も頼まれたので、明日の午後にでも相談に乗ってあげよう。

 ・・・ということで今日の仕事はここまで。
 明日は早朝から打合せ。島の朝は早い・・・という言い訳で、これから焼酎を飲みに小さな繁華街へ独りくり出す。



午後6時半
 テキトウな身支度をして宿を出る。
 フラフラ歩いて店を物色したが、結局以前入った事のある店へ入店。焼酎ボトルを頼むと同時に名札をかけると言われ、キープする気はないからと断る。



午後7時
 独り宴の始まり。
 食事らしい食事は久しぶりだったので、頼むツマミも何時も食べているようなモノになり、少々後悔。前回もそうだったが、こちらでは親切心から焼酎のボトルをカウンターの裏に隠す。これを断って、自分のペースで飲みたいと訴えたのが19時半。

 普段好んで食べない豆腐を「島豆腐」と書かれると食べたくなり、鯨の竜田揚げ、そして最後はカメとなる。

               カメの刺身



午後9時
 すっかり店長とも仲良くなり、隣に座った若い女性も話に入ってくるようになる。

 隣の女性は福岡からわざわざ来たという。今日は鯨のダンスが沢山見られたと喜んでいた。介護の仕事をしていて、その疲れから仕事をやめて慰安旅行だという。しょうがないから店長と二人でカメをご馳走する。



午後10時半
 やはりカメネタは盛り上がる。
 ウミガメを取る事ができる人は父島に一人、母島に一人しかいないと聞く。噂をするとその一人が入店・・・、これは酒を飲みすぎる言い訳にはもってこいである。



午後11時
 店の裏から隠しメニューが登場。レバ刺なのだが、カメのレバーだという。

 食してみる。私には美味いと感じたが、隣の女性はこれに耐え切れず帰宅する。

 店長と話をすると、私の職業の話で盛り上がり、ついこう仲良くなると何かを頼まれてしまうのが私の長所なのか・・・相談は途中から有料だよと言いたくなった。
 レバーがその代償と思うしかない。店長の顔がカメに見えてきた。



午後11時半
 焼酎のボトルは既に空となってしまい、店長に別れを告げる。
 帰り際、「また明日!」なんて言ってしまって、暗い帰り道でカエルに笑われる。



午前12時過ぎ
 床に就く。

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