第2日目 12月8日(火)



6時30分
起床。

台風の時ほどではないが、この揺れには参った。
ベッドでストレッチ。
1等のベッドは広い。



7時
船内アナウンスにて「到着予定時刻が40分遅れ」と。

今回の渡航時間は26時間10分となるらしい。
この揺れでは仕方ない。



7時10分
顔を洗い、歯磨き。



7時30分
仕事開始。

スケッチを描くも揺れで線が曲がり、出来栄えの悪さにイラツク。



10時
気付くとこんな時間になってしまった。

まだ揺れはあるが、慣れたのか集中して仕事ができた。
ここで慣れてしまうと、船を降りてから脳ミソが揺れるのである。

     



11時30分
そろそろ島が見えているはずと思い、部屋の外をウロツク。

突然、若い女性から呼び止められる。
やはり竹芝で見たのは、“あの店”の店員であった。



12時
いつもどおりに父島タクシーのお出迎えと共に、二見港へ。

     

     



12時10分
上陸。

来るたびに、ここで挨拶される人数が増えていく。
しかし肝心な工事会社が来ていない。
今回の渡航で、かなり彼らのために重い荷物を持ってきたというのに・・・。

肩を落としながら宿「ガジュマル」へ。



12時20分
ガラガラと宿の戸を開けると、クリスマスイルミネーション。
“こりゃぁ、たまげた!”と思うが、宿のお母さんが出てこない。

何かあったかと建物の周囲を回ると、窓越しに目が合う。
何か考え事でもしていたのか・・・。

いつもの部屋を使うように言われ、
いつものように朝食もお願いする。

今日は他に、東京都の職員も宿泊すると聞く。
「今宵は悪いことはできない。」と、鏡に映る自分と目が合い、
「いつも悪いことはしていないだろう。」とニヤリ。



12時30分
メールをチェックすると山のように着信。
13時半までに返信を終え、14時までに現場へ向かわねばと焦る。



13時30分
ギリギリでメール返信をすませ、身支度を整える。

急いで階段を降りようとしたが、下で宿のお母さんの声。
そういえば、彼女のファンになってしまった弊社スタッフから土産を預かっていた。
出かけついでっぽくそれを渡すとヘタクソな日本語で、
「また飾りが増えた!」と笑顔。

あまりここで会話をしたくなかったので、足早にお昼を買いにスーパーへ。
おにぎりを2つとお茶を購入して現場へ向かう。

「早足で歩きながら食べる私を皆笑っているだろう・・・。」
と恥ずかしい気持も、毎回となれば慣れてしまう。



13時45分
途中、親分の会社に立ち寄る。

「ご無沙汰してます!」という挨拶と共に書類を渡し、
かなりの早口で要件を伝え、その場を去る。

ここから現場までは獣道を歩くしかない。
昭和天皇の歩幅に合わせて作られたといわれる階段を上り、
獣道を通じて現場へショートカット。

           

           



14時
現場着。

やはり島の人はノンビリだ。
私がこんなに時間を気にして歩いてきたのに、地面に座って待っている。
現場も思っていたモノの半分も終わっていない。

「何のためにきたのか分かっているのか!」と言いたいところだが、
島の人相手には柔らかく伝えるしかない。
この対応を都会でやっていたら、私はストレスで参ってしまうだろう。

仕切り直しで夕方に打ち合わせをしようということになり、親分の会社へ戻る。



15時
会社に着くと親分は不在であった。
後ろから女性が出てきたが、
その陰に見える男性が社長だという。

「まさか・・・」と思ったが、ここまで来る船の同部屋だった人だった。
特に会話を交わさなかったが、
何か失礼がなかったか、巻き戻して乗船時から振り返る。



15時15分
逃げるように立ち去り、気を落ち着かせる為に大神山神社へ向かう。



15時30分
急な階段を上る手前、見たことのある女性と出くわす。
目をそらすか迷ったが、手を挙げてしまった。

“あの店”の新人店員。
元気そうでなによりでした。



15時45分
頂上まで一気に登ってしまった。
これで間違いなく明日は筋肉痛だ。

いつもと変わらぬ風景で、暑くもなく風も気持ち良く、
ベンチに腰掛け、このまま眠ってしまいたくなる。



16時
30分後の打ち合わせを忘れたくなったが、とりあえず下山。



16時10分
浜辺にて読み残した本を開く。

波の音を聞きながら、心地よく理想的な読書タイムと思いきや、
自衛隊のヘリがタッチアンドゴー。
石を投げてやろうかと思ったら、
後ろで母親に抱かれた子供が泣きやまない。
泣きやまない理由は、母親のサングラスだろうと言ってやりたくなった。

     

「まぶしくもないのに顔の半分が隠れそうな黒メガネをして、
幼子の気持ちが分らんか・・・もっと泣いてやれ!」と胸の内で応援。
私と目が合った幼子は、心が通じたのか
更に大声で泣く(私の顔が怖くて泣いたのではない事を祈る)。

今日は、春に来た時だったか・・・カメを食べて以来の強気だ!!



16時30分
打ち合わせの為、相手方の会社へ。

都会ではあり得ないほどのボロボロのプレハブ事務所。
でもこんな建築が許される父島が嫌いではない。
通された応接スペースも飾らず、
ひと昔前のスプリングをかなり感じる破れたソファ。

上階は彼らの寝床だと聞く。
昔は飯場があったが、人数が減ったので外食していると聞く。
“あの店”の話をしたが、あまり会話が弾まなかった。
その代わり、明日違う店で飲もうという事になった。

また島の掟の登場か・・・?



17時30分
打ち合わせが終了し、やっと落ち着いて会社に連絡。
まだ脳ミソが揺れている。

特に変わった事もなく・・・との報告に、安心して電話を切る。

宿の前の大きなガジュマルの樹に、クリスマスイルミネーション。
常夏の島には似合わぬ印象である。
今年から始めたと聞く、来年はないかなぁ・・・。

     



17時40分
宿に到着。

扉を開くと、何度も書いて申し訳ないが、
ハンプティダンプティ風貌の宿のお母さんが待っていた。
クリスマスの飾り付けがまだ完璧ではなく、
17日までには終えるよう計画しているという。

           

           

ほとんど手作りで、かなり工夫しているのを嬉しそうに教えてくれた。
笑顔で「今年はまた小さいのが増えちゃって〜」と言いながら、
私が渡した土産を飾ってくれていた。

     

あの手作りの飾りをみたら、弊社スタッフからの土産飾りはまずかったろう。
一番良い場所に置いてくれているが、少々恥ずかしい。



20時
議事録だの日報だのに加え、
メールの山に返信していたらもう20時を過ぎていた。
今日父島に来ているのは、2人の女性店員にはバレテいるのだし・・・、
と自分の中で言い訳を成立させて腰を上げる。



20時10分
“あの店”にたどり着く。
今日は寄り道なし。

他の客がいるのに、私の名前が遠くからも聞こえる。
これはまずい。
カメ店長も早々に挨拶。
私をハカセと呼ぶ(ハカセタロウの髪型から)。



20時30分
カメ店長と米軍基地移転の話で盛り上がり、
硫黄島に移転と言った議員に対して、ストレス発散のような悪口の連射。

「何でこんなに熱くなるの?」とカメ店長。
「そりゃぁ、村長にするための教育!」と田中。


実はそんな話とは別に、
私が来る前に建設会社の人々が、
「田中さんから厳しく指示されて・・・」と愚痴を言って帰ったらしい。
「まぁ、そういう発散できる場があっただけ宜しいのでは・・・」と軽く流す。



22時
気付くと、カウンターにカメ店長の友人3名と田中での盛り場となっていた。

この人たちは私のようなストレス社会に背を向けた人々。
笑いにもキレがある。

あと数ページで読み終わる本を持参して、
カメ店長が忙しくしていたら本でも読んでいようと思っていたのに、
今宵アクセル全開。
何でこの人たちと話をしていると、こんなに楽しいのかと思ってしまう。

私は毎日酒を飲んでいるのに、この快楽は得られていない。



24時
女性店員に会計を頼み、帰ろうとすると、
それぞれのジョッキから私のジョッキに継ぎ足し帰そうとしない。
それを一気に飲むのも申し訳ないし、残して帰るのも失礼である。

数分後、いいタイミングで飲みほし、店を出る。
店からはハカセコール。

明日は約束があるので店には来られないが、
それを伝えることはできなかった。



24時30分
星空を眺めながら宿へ向かう。

明るいうちから気になっているのだが、
父島の猫共が、自分たちの姿を私にアピールしているように感じる。
何を意味しているかは不知であり、
この渡航期間中に何かあるのか少々の不安有り。

何かあったのかと聞きたくなるが、
暗い夜道、また明日と言って宿へ急ぐ。


それにしても今日もよく飲んだ。
カメ店長が仲間を呼んでくれているのか、自然と集まっているのかは不知。

不思議の国のアリスのような錯覚を覚える。
アルコールのせいであればよいが・・・。

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