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株式会社田中俊行建築空間設計事務所は、用途・規模・構造を問わず、あらゆる建築作品を設計する事務所です。

第16回渡航2011年10月18日(火)~23日(日)

第1日目

9時15分
竹芝桟橋着。
世界遺産になってから初めての渡航である。
多くの人で溢れ、ウンザリする。

「田中先生!」と声をかけられ、目をやると定宿のお母さん。
内地で休暇を取っていたと嬉しそうに話す。

その他、数名から声をかけられ、観光客からは変な目で見られる。


9時30分
多くの人々を避け、足早に乗船。


9時50分
出航前から宴が始まる。


11時50分
携帯を見ると多くの着信履歴。
厳選した会社にだけ連絡。


12時
仕事の話も混じりながら、アルコール摂取。
今回の航路は、舘山経由とアナウンス有り。


13時15分
舘山沖着。
宴は船の停泊を無視して続く。

いよいよ圏外エリアへ突入。
幸いなことに、船はほとんど揺れない。


18時30分
便所から戻った仲間が、レストランは行列だという。

………そんな光景、今まで見た事がない。


20時
一人二人と脱落者が現れ、代わりに酔っぱらいが参加してきた。
スイス人だのフランス人だの…酒に酔って国籍までテキトウ。


22時
酒を飲み始めてから12時間。

そろそろ話疲れてきて、解散しようと席を立つ。


22時30分
眠れない観光客にニラマレ歯磨き。


23時
就寝。

ほとんど揺れないので快適に眠るが、頭のあたりが明るく感じ、目を開けること数度。
また変な感覚が迫ってきた。

目を開けていようがいまいが、自分の頭の周囲が明るく感じる。
明るいのではなく明るく感じる。


第2日目

7時
起床。

………といっても同部屋のオヤジが先に起きてテレビを観ており、布団の中で待機する。


7時30分
携帯のアラームが鳴り、もういいだろうと外へ出る。
ボサボサ頭に唖然とされ、洗面所へ。


7時45分
到着時刻が40分遅れるとアナウンス。
こんなに平坦な海で遅延するとは…。

本日午後からの打ち合わせ予習。


8時30分
外に出て朝陽を撮る。

特に意味はない、観光客っぽく。
父島写真16-01


9時
朝食、カップラーメン。

到着時刻を12時に変更とアナウンス。
少しはやる気になったかと独り言。


9時30分
デッキへ出ると大勢の人々が、聟島列島を眺めていた。
いよいよという感じである。

部屋へ戻る途中に、会いたくなかった人と挨拶。
父島写真16-02


10時
仕事の予習再開。
あと2時間で分刻みの打ち合わせが始まってしまう。

父島での仕事は時間との戦いでもある。


11時
久しぶりの父島が見えてきた。
トビウオのお出迎え。
父島写真16-03

父島写真16-04

父島写真16-05

父島写真16-06


12時
ヘタクソなのか時間通りに着岸できない。

同部屋の人は島の人だと判明する。


12時5分
父島上陸。

降りると、多くの人々に迎えられるようになった。
まぁ、悪くはない。
午後の打ち合わせ時刻を決めて宿へ向かう。

宿へ行くと、ハンプティさん(宿のお母さん)は伸びをしていた。
アイコンタクトで挨拶を交わし、何時もの部屋で良いからね…とウィンク。


12時30分
荷物をバラシテ、何時ものように“お店”を広げ、会社に電話。


13時40分
昼飯抜きで打ち合わせ場所へ向かわねばならなくなり、会社に電話した事を後悔する。


14時
ギリギリで打ち合わせ場所へ到着。
父島写真16-07


15時30分
打ち合わせ中なのに、会社から急ぎのメール。
電話するか否か、携帯とニラメッコ。


16時
島の方からの電話。

どうしても今から会いたいと…。


17時
会社へ電話。

もうバタバタしていて出張にならない。
父島写真16-08


17時30分
彼と合流する前に、他の案件の施主と立ち話。
ハンプティさんも苦笑い。

暗くなる前に現地調査をし、会社からの連絡を無視する。


19時
宿に戻る。

これから、誘いの電話を無視しながら事務仕事をせねばならない。

会社に電話すると仕事ができずにイライラ…。


20時
解放されたと思いこみ夜の街へ。


22時
早めのハシゴは、少々遠ざけていたマニアックな店。

私の事はやはり分かっていた。


23時
解散。


23時30分
メールチェックし何もないことに安堵して床に就く。


第3日目

7時
起床。

いつも通りの行動で、ハンプティさんも慣れた感じだ。


8時15分
いつも通りに朝食まで終え、身支度を整える。
今日も山の上で打ち合わせ。


8時30分
宿を出る。
父島写真16-09

父島写真16-10

父島写真16-11

父島写真16-12


9時
急な坂を上り、現場へ到着。
父島写真16-13

父島写真16-14


11時
次の打ち合わせは、本当の山の頂上なので車で移動。


12時
仕事仲間と昼食。

ある方が参加され、新たな仕事の話。
昼飯は商談の場となる。


13時
歩いて次の現場へ向かう。

歩きながらの寄り道はいつも通りであったが、頭の中が仕事のことばかりで、鳥や魚に挨拶できなかった。
父島写真16-15

会社へ電話すると長電話となる。
父島写真16-16

父島写真16-17


14時
午後一発目の打ち合わせ。


15時
役所へ歩く。
父島写真16-18

歩いていると人間に挨拶される事が増えてしまい、立ち話も数度。
父島写真16-19

これでは鳥たちは誘導してくれない。
父島写真16-20


16時
打合せ終了。

海辺を歩き、鳥たちに挨拶。
悪かったなぁ…と伝えているつもりであるが、彼等はこちらをみつめるばかり。

「おまえは性格が悪くなったのか、人間社会に流されているのか?」と問われているよう。
父島写真16-21


17時
会社と連絡。


18時
電話対応。

メール返信。


19時
待ち合わせ場所へ。

酒を飲み、仕事の話。
今回の渡航は仕事ばかり。


21時
店を変える。
カメ店長の店へ。

しかしながら、仕事話は続き環境改善はできなかった。


22時
施主から連絡。


22時30分
カメ店長を目の前で、施主との打ち合わせが始まる。


24時
お開き。

カメ店長からラーメン食べようと誘われるが、疲労感から帰らせてもらう。


24時20分
そぉっと、玄関を開けると手紙が落ちてきた。

ハンプティさんから「DENKI and KAGI YOROSHIKU」と…。


第4日目

7時
起床。


7時30分
シャワーを浴びて、身支度を整える。
今日は忙しい一日。


8時
朝食。
相変わらず美味い。


8時30分
宿の外で迎えを待つ。
父島写真16-22


8時35分
お迎えはパジェロ。
今日も現地調査。

奇麗な海辺に、ある建築を建てる相談。
こんなところに私の作品が建てられるものか、恥ずかしながら高揚してしまった。

建てるためのアドバイスをして車に乗る。


10時
ある会社の応接室。

こんなところで説教をせねばならないとは思わなかった。


11時
お迎えの車。

次の打ち合わせのある会社へ。


12時
お迎えの車。

打合せを拒むと、“昼飯を食べながら”という条件提示される。
相手はレストランを想定していたが、私はおにぎりを頬張る。


13時
施主との打ち合わせ。


15時
あるオーナーと打ち合わせ


16時30分
支庁へ駆け込み打合せ。


17時
別の施主と協議。


17時30分
内地の施主と連絡。
会社へ連絡。


18時
宿に戻り、メールチェック。


18時20分
今宵はお施主さん主催の宴であるのに、遅刻してしまった…申し訳ない。


21時
一次会終了。

かなり島に根を生やしてしまったためか、島に事務所を作るように迫られた。

二次会の席でもそれは続く。

偶然にも、もう一人のお施主さんがカウンターで飲んでおり、偶然にも、別の席で私を覚えてくれた学校の先生方が飲んでおり、私のグループに酒が届けられると、全員で乾杯の大合唱となる。

会話は盛り上がり、うるさいくらいであった。


23時
席を移動しながら酒を飲んでいると、チラホラ帰宅者がおり、気付くとカウンターの施主と、店の夫婦だけとなる。

店の夫婦は私を覚えてくれており、そこからの酒代はオゴリとなる。


24時
もう帰ろうと店を出ると、カメ店長が覗いていた。

「何だ、入ってくればいいのに…」というと、「これから歌いに行くから」と意地を張る。

笑顔で別れを告げ、宿に向かう。


24時30分
就寝。


第5日目

5時
起床。

どうも眠れなかった。
内地のある事が理由だが、ここに記すのはやめる。

メールチェックと返信。
いつも通りに起きたフリをしないと心配されると思い、静かに部屋の中で仕事をする。


7時30分
階段を下りて挨拶。
シャワーを浴びて出ると朝食はできているとハンプティさん。


7時50分
早めの朝食。

いつも通りであるが、ご飯に味噌汁、納豆と海苔、漬物に小鉢、メインはマグロの味噌煮。
まったく贅沢だ。


8時40分
荷物をまとめ、ハンプティさんにお金を渡す。
領収書は用意されていたが、お釣りは用意されておらず、前回同様、後でいいですと伝える。


9時
お迎えの車。

島内を車で移動すると、何度も来ているがカメラを手にしたくなる。
カメラを手にしていると、「携帯を持て」と音が鳴る。


11時
再度携帯が鳴る。
「どうしても打合せがしたい」となり、最後の昼飯を一緒にとろうとなる。


11時30分
再び“拉致”され、車で15分の海岸レストランへ。

ここなら空いているという理由であったようだが、私にしてみれば、「もう返さないぞ」といわれても仕方ないという覚悟。

野菜カレーを頬張る。
結構美味かった。


12時45分
打合せが終わると、宿まで送ってくれるというので安心した。


13時
宿に到着。

小走りで土産屋を回る。
今回の土産は、スターフルーツと島レモン。

被災地の親戚へ送る予定だったが、送り状を書いている時間もなく断念。


13時30分
乗船開始となっているが、バタバタと荷物をまとめ、ハンプティさんに挨拶。

二見港は大人数で“酸素不足”。
多くの人と挨拶を交わし、乗船。


14時
出航。

ほとんどすべての船が見送りしてくれている模様。
現金なものだ。

父島は世界遺産になって困惑中である。

宿は満室、ダイビング客は少なく、ハイキングツアーは行列、夜の居酒屋はガラガラ。

要するにオバサマ連中が多く、今までの客層と変わってしまった。

ホテルが満室となってしまうので、今までのリピーターが来訪できず、本来の姿ではなくなってしまった。
ホテルは夕食付きで夜に出歩く人は少なく、居酒屋で会う客は顔見知りばかり。

整備工事はたくさんあるモノの、工事できる人は限られ、内地から呼ぼうにも宿泊施設がないという。


観光客の入島制限をしないと島は壊れてしまう。


14時30分
そんな事を考えていると、誘いの連絡があり宴の席へ。

今回の渡航は仕事だらけで、ここへ記せる事項もつまらないことばかり。
父島では仕事という名目で来ているけれども、周りの風景や動植物が、休みなく働く私の心身を癒してくれた。

でも今回の渡航はそんな余裕さえも奪われ、朝から晩まで仕事。
酒の席も、ランチも仕事であった。

営業所を設置することまで迫られ、愕然としているのが本音。


18時30分
途中退席し、少しだけ横になろうとベッドへ。

気付くと消灯時間まで寝てしまった。
今日は土曜日だから許してくれ。


第6日目

5時
起床。

随分と贅沢に寝てしまった。
ほとんど船が揺れないのが最大の幸せ。

でも、今回同部屋の人たちと話をしたくない。
これ以上の仕事やコミュニケーションはウンザリだ。


12時10分
舘山着。

今回は年に1度(?)の舘山に寄り道船。
仕事仲間が滅多にないから降りてみると下船。


12時30分
舘山を出航する。
この時期の船で、行き帰りまったく揺れないのは珍しい。

猫からのプレゼントか…。


13時
日曜日だというのに会社から電話。
日曜日の出張帰りだというのに、会社に寄れという。

電話で済ませようと努力するも片付かず。


15時20分
予定よりも早く竹芝桟橋に到着した。

仕事のミーティングをして別れる。
誤って直帰しようとしたのだが、気付いてしまった自分に後悔。


バナースペース

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